漫画研究室

ジャンプ作品の感想や考察を書いている個人ブログです。ジャンプ感想を毎週更新中。ワートリ感想を毎月更新中。呪術廻戦・アンデラの単行本感想を随時更新中。

【2021年46号】週刊少年ジャンプ感想:アオのハコ 25話・ヒロアカ 330話・人造人間100 近未来杯エントリーNo.2

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週刊少年ジャンプ2021年46号 集英社

ヒロアカの表紙が超カッコいいジャンプ2021年46号の感想。

今号のアンケートは「アオのハコ」「ヒロアカ」「人造人間100」で送りました。サカモトも入れたかったんですが枠が足りない。

アオのハコ 25話

ラスト、額に手を当て熱を計ってくれる千夏先輩が最高でした。

このシチュエーション自体も良かったですし、ここに至るまで猪俣のメンタルを虐め続けていたのも良かったです。ラストの盛り上がりを大きくする前フリになっていました。
「空腹は最高のスパイス」のように、地獄みたいなシチュエーションから天国みたいなシチュエーションになると嬉しさは倍増します。


同様に、猪俣のメンタルの虐め方も上げ下げを利用していて、効率的にメンタルを潰していましたね。
「もうムリだ…」で下げて、「期末テストで苦しんでるだけ」で上げて、「スマッシュの精度を上げる」で下げて、夏風邪で下げる、と上下に大きく揺さぶり続けられました。一度上げてから落とされた方が痛いです。

大喜の目標が「スマッシュの精度を上げる」と、地味にネガティブに表現されていたのも良かったです。
一見すると無難な目標なんですが、読者は「IH出場」じゃないことに違和感を感じますし、直接的でないネガティブ描写なところが面白いなと感じました。


大喜と千夏先輩との関係を考えると最高の回でしたが、雛の立場になって考えると、雛にとって圧倒的に不利な状況が不憫に思えてきました。

雛は「大喜なら大丈夫だろう」と信じるしかできないのに対して、千夏先輩は同居しているから体調の異変にすぐ気づいて声をかけてあげられるんですよね。
2人のヒロインが競い合う漫画のはずなのに、2人が置かれている状況が全くフェアじゃないのがエゲツないです。
しかも、これがアオのハコの面白さの原動力というのを考えると、なんだか虚しい気持ちになってきますね…。






僕のヒーローアカデミア 330話

スターアンドストライプの個性は「新秩序」

考え得る限り最強の能力ですね。チート個性どころかチートそのもの。
前回、AFOの情報と登場シーンのカッコ良さで相当ワクワクさせられていましたが、その期待に150%で応えてくれる個性とバトルでした。
真空を作り出したりレーザーを手で持ったりとやりたい放題で見応えが半端じゃなかったです。なんでもありすぎる。

あと、バトルの勝敗に影響していたわけではないですが、個性で作り出した真空が星の形になっていたり台詞の吹き出しに横縞が入っていたり、星条旗のモチーフがバトル中に組み込まれていたのも良かったです。遊び心を感じました。


死柄木とAFOが混じり合い、新たな人格が形成されていく。
AFOが死柄木を乗っ取ったときに、ラスボスは死柄木の姿をしたAFOになると予想していたので、まさか二人のどちらでも新人格が登場するとは予想外でしたね。

今後のストーリーに関わってくる重要な設定であるだけでなく、今回の話の中だけでも「『死柄木弔』ではないので『新秩序』が効かない」とすぐに影響が出ているのが面白いところでした。設定を出してすぐに使う無駄のなさよ。

重箱の隅を突くことになりますが、少し気になってしまったのは、「そもそもヴィラン名で個性を発動できたのか?」という点。
万が一にも「ヴィラン名の『死柄木弔』ではなく本名の『志村天孤』だったら発動できてた」と後に判明したら笑うしかないですね。スターさんの凡ミス説です。


まさかの1話で決着?
スターさんの個性が強すぎるのでメタ的に本格参戦させたくない気持ちは分かりますが、たった1話で退場させてしまうのも勿体ない気がするんですよね。
ここでスターさんが死んでしまうとアメリカ含め世界の治安が終わってしまうので、戦闘不能になって帰国するのが無難な落とし所かな。

人造人間100 金未来杯エントリーNo.2

面白い…!
ただ、漠然と面白いと感じただけで、「ここが決定的に面白かった」みたいなポイントが不思議と挙げられないので感想が難しいです。いくつか「割と好き」なポイントをあげる形の感想にしようと思います。


まずは、冒頭のお姉ちゃんが車内から攫われるシーン。
2つのコマを並べて攫われた瞬間を描いていたのがホラー的で好きでしたね。
思い返してみると、このシーンの時点でこの作品を好意的に読む姿勢が固まったくらいかもしれません。

あと、敵の人造人間が本人の逃げたい気持ちに反して戻ってきてしまうシーンもインパクトがあって好きでした。これ!と言い切るほどではないけれど、それなりに印象に残るシーンが多めにある作品でした。


もう一つは、小さな違和感をしっかり回収する点。

具体的には、パン30個を食べる姉やウザイくらい過保護な使用人ですね。パン30個は「人造人間が優れた人間を好む」という設定への伏線、過保護な使用人は「使用人が万全の状態の肉体を手に入れたいため」という設定への伏線でした。

こういうスルーできなくはないくらいの小さな違和感が、意味のある伏線として回収されるのが好きです。おそらく意図的に違和感を与えられているので、撒き餌にまんまと食いついてしまった形になります。
世の中には、意味もなくパンを30個食べさせる漫画も沢山ありますからね…。そういう作品と比べると断然こちらの方が好きです。


あとは、「悲しみを癒す方法は涙を流すことだけではないから」というセリフも好きでした。
これ良かったですね。「後ろを向いて悲しむことと前を向いて歩くことは必ずしも切り分けが必要なものではない」というメッセージ自体はそこまで珍しいものではないのかもしれませんが、あえてこれをメインに据えた作品ってなかなか見たことがない気がします。
目新しさもあったかもしれませんが、素直にメッセージとして心に刺さるものがありました。


ここまで読んで頂きありがとうございました。
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