
「劇場版 呪術廻戦0」の感想。
作画・演技・音楽など全てが大満足の映画でした。関わったスタッフの皆さんに感謝。
今回の感想はアニオリに焦点を当てます。アニオリが「劇場版 呪術廻戦0」を「呪術廻戦の原点」として相応しい作品にしていたなという感想です。
「呪術廻戦」と「東京都立呪術高等専門学校」の関係について
原作の「呪術廻戦0」は、ジャンプGIGAで連載されていた「東京都立呪術高等専門学校」を単行本に収録したものです。
「呪術廻戦」は「東京都立呪術高等専門学校」をベースに連載化された作品であり、キャラクターや設定が共通しているため、「東京都立呪術高等専門学校」は前日譚として扱われています。
ただ、「東京都立呪術高等専門学校」は、「呪術廻戦」の連載を想定せずに描かれた作品であるため、一つの作品として既に完成されています。
そのため、「呪術廻戦の原点」という雰囲気はそこまで強くないです。前日譚と言えるけど原点とまでは言えなくないか?くらいの温度感。
どちらかというと世界線を共有した個別の物語みたいな印象があります。全く繋がっていないわけではないんですけどね。
今回の映画化では、「呪術廻戦」が描かれた今だからこそ描けるアニオリが多く追加されており、「呪術廻戦0」が見事に「呪術廻戦の原点」の作品として再構築されていました。
アニオリについて
印象に残ったアニオリについて順番に書いていきます。
- 本編設定の逆輸入アニオリ
- 原作読者へのファンサービス的アニオリ
- 「五条と夏油の物語」としても楽しめるようにしたアニオリ
1. 本編設定の逆輸入アニオリ
- パンダのゴリラモード
- 乙骨の黒閃
ゴリラモードは「東京都立呪術高等専門学校」では存在しない設定ですが、「呪術廻戦」で設定が明かされた以上、本気で闘うパンダがゴリラモードになるのは自然な展開でした。

本編との整合性を高めつつアクションで盛り上がるという一石二鳥なアニオリでしたね。
そして乙骨の黒閃。映画館で興奮しました。
こちらも「東京都立呪術高等専門学校」では存在しない設定ですが、このタイミングで出されてしまうと文句のつけようがないですね。
乙骨が黒閃を経験したことがあるなら、ここしかないという完璧なタイミングの黒閃でした。アニオリのくせに説得力が半端なかったです。
夏油に「黒閃!?」みたいな安いリアクションをさせず、しれっとバトルの中に取り入れていたのもスタイリッシュで好きなポイントです。
ゴリラモードと乙骨の黒閃、どちらも「東京都立呪術高等専門学校」時点では存在していなかった設定ですが、「呪術廻戦」を経た今では描くことで説得力と面白さを増幅させるアニオリだった思います。
2. 原作読者へのファンサービス的アニオリ
- 冥さん、イノタク、日下部さんの参戦
- ナナミンの黒閃4連発
- 京都サイドの戦闘描写
冥さんとイノタクは原作の「呪術廻戦0」にも描かれていたので納得の登場。日下部さんは少しサプライズでした。

今回初めて呪術に触れた人やアニメ派の人にとっては、知らないキャラだったかもしれませんが、原作ファンにとっては嬉しいファンサービスでした。
そして、ナナミンの黒閃4連発。

これはアニメの範囲でも触れられていたエピソードです。アニメ派にも嬉しいアニオリでした。
1発目の黒閃が来た瞬間に「これ4連発か!?」とテンションが最高潮まで一気に上がりました。
そして、京都サイドの戦闘描写。
東堂のエピソードに関しては原作でも触れられていました。
「一級呪霊5体と特級呪霊1体を単独撃破」という具体的な戦果を知っているだけに、戦闘シーンをじっくり見られたら最高だったんですが、残念ながら短めの登場でした。まあ、仕方ないですね。
東堂以外の京都校メンバーも登場したのは素直に嬉しかったです。メカ丸が三輪ちゃんを助けたシーンとか大好きです。
このように、「呪術廻戦」のキャラクター・エピソードが「呪術廻戦0」に登場することで、2作品の結びつきが強まって「原点感」が増していたように思います。
3. 「五条と夏油の物語」としても楽しめるようにしたアニオリ
- 懐玉・玉折の回想
- 硝子さんの一言
「呪術廻戦0」は乙骨と里香ちゃんの物語ですが、五条と夏油の物語として楽しむこともできます。これは原作の時点からそうなんですが、「劇場版 呪術廻戦0」では更に2人の関係性を印象付けるようなシーンが追加されていました。
何と言っても、懐玉・玉折の回想ですね。今回のベストアニオリでした。
一瞬で大量の記憶が脳内に流し込まれました。このアニオリを提案したスタッフは獄門彊を使う才能がある。
硝子さんも五条と夏油の関係性に注目するなら避けて通れないキャラクターなので、しっかり登場シーンが追加されていて良かったです。
回想を用いて呪術廻戦と共通の軸を強化していました。禪院姉妹の回想も同じ部類です。
まとめ
設定、キャラ、エピソード、回想。呪術廻戦を経た今だからこそ描けるアニオリが「劇場版 呪術廻戦0」を完璧な「呪術廻戦の原点」にしていたな、という感想でした。
追記
2回目を見に行ってきたので追記。
初めて4DXで見てきました。
いや、凄かったですね…。呪術の4DXが凄かったというより4DXが凄かった…もはや映画じゃなかったです。あれはアトラクションです。
4DX、実質10DXみたいなところありません?席揺れるし風吹くし水出るし後ろから叩かれるしフラッシュ眩しいしスモークも出るし。事前知識として色々あるのは知っていましたが、実際に体験してみると想像以上に色々ありました。
特に風がヤバかったです。自然の風の質感なんですよ。一度は体験してみるべき。
呪術を4DXで見て良かったと思うのは、里香ちゃんのヤバさを全身で感じ取れたところ。
特に席の揺れが緊張感を増幅させてくれました。肘掛けを掴みたくなるほど激しく揺れるので本能的に「ヤバい」と感じました。バトルシーンの緊張感や迫力は通常の映画と段違いでしたね。
あと、4DXとは関係のない感想になりますが、1回目では意識を向けていなかった描写を2回目ではしっかり注目できたのが良かったです。
夏油が真希さんの血を踏むシーンとか。真希さんのことを「猿」と軽蔑しながらも、どこか非情に徹しきれていない夏油の内面を察することができました。
ただ「2回目の鑑賞が1回目の感動を超えることは絶対にないんだな」とも思いました。
やはり何も知らない状態での初見体験は貴重。大事にしていきたいです。