ワールドトリガー第195話「雨取千佳⑨」ワ民によるワ民のための感想・考察
注意
ネタバレを含む感想です。
未読の方はご注意ください。
生存しているのは二宮隊の3人(二宮・犬飼・辻)と玉狛第二の3人(遊真・修・千佳)。遠征隊選抜までは残り2点が必要な状況です。
今までの全195話中、私は195話が一番好きです。
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「撃たせる覚悟」と「撃つ覚悟」
「雨取じゃなくて 三雲に覚悟が足りなかった」
これは千佳が素の狙撃をしなかったことについての三輪先輩のセリフです。これは、修に「撃たせる覚悟」が足りてなかったことを読者に意識づけておくことで、対照的に千佳が強い「撃つ覚悟」を持って狙撃をしたことを強調するためのセリフだと思います。
二宮さんのやり方
前回、辻と犬飼を千佳の捕捉に向かわせる指示を出したのを読んで「スナイパーを抑えるのは一人で良くない?」「一人で戦うのはリスク高すぎない?」と疑問に感じたんですが、これは玉狛の裏をかいたフェイクでした。
そもそも修はランク戦前から「二宮さんは意外と理屈よりも感情で動くタイプの人なんじゃないか・・・?」と考えていました。修にはこのイメージがあったからこそ、一人で二人を相手にするという二宮さんの強気な作戦に対して疑問を抱かなかったんだと思います(辻の奇襲に気付いていなかったようですし、狙撃がなければ修は落とされていたはずです)。つまり二宮さんは修のイメージを逆手にとった戦術をとったということでしょう。
これには、ROUND4の前に東隊が言っていた「戦術で勝負するときは敵の戦術のレベルを計算に入れる」というセリフが遅効していると思います。
あと「辻が女の子を斬れるはずがないからフェイクに決まってた」なんて言ってる人もいるみたいです。確かに笑
殻を撃ち破った千佳
千佳が初めて自分の意志で普通の弾で人を狙撃しました。そしてこれが今回のサブタイが「雨取千佳⑨」である所以です。
ガラスを破って狙撃をしているのは千佳が「人を撃つ」という殻を撃ち破ったことを暗に示しているのだと思います。
千佳は素の狙撃をするつもりならバッグワーム使って身を隠すべき場面だったんですが、ここではバッグワームつけてないんですよね。これは千佳がギリギリまで鉛弾で撃つか普通の弾で撃つか葛藤していたからじゃないかと思います。
そして撃たれた辻。一応、実弾と鉛弾の両方に対処しています。芸が細かい。まあ千佳のアイビスなんで集中シールドも効果ないんですが笑
千佳が殺意高めのアイビスを使ってることからは「絶対に落としてやるぞ」という強い意志を感じますね。もしかしたら外岡を落とし損ねた時の「次は ちゃんと当てる・・・」の反省を活かしたのかもしれません。
辻が鉛弾対策の瓦を拾う描写もさりげなく入れられています。流石ワートリ。
「・・・ここだ」
このヒュースのセリフ、初見だと次のページの千佳の狙撃について言ってるようですが、読み返すとどうやら違いますね。
狙撃はおそらく千佳の独断。
となるとヒュースのセリフが指していたのは修の隠し球の使い所のことだったのでしょう。
これは意図的にミスリードさせるような演出だと思います。葦原先生にしてやられました笑
小南先輩がヒュースの隠し球のときに言った「ここ!」とも被るセリフだったと思います。
「・・・勝った」
「・・・勝った」
修の攻撃が二宮に躱されてしまった直後にこの発言。
最初に読んだ時はこのタイミングで修が勝利を確信する理由が全く分からなかったので、ページをめくった瞬間に驚愕しました。大規模侵攻のクライマックスに匹敵する衝撃だったと思います。修がハウンドを使うのを予想できていた人類なんて地球上に一人もいなかったのでは?
しかし、実はこの隠し玉には「言われてみれば…」となる伏線がたくさん張られていました。
ヒュースの隠し玉
ヒュースの隠し玉は「アステロイドに見せかけたバイパー」でした。今回の修の隠し玉の「アステロイドに見せかけたハウンド」と良く似ていますし、ヒュースを参考にしてこの技を思いついたのは間違いないでしょう。とりまる先輩が「修がヒュース役をやることになるでしょうね」って言ってたのは「修の隠し玉をヒュースの隠し玉の代わりに使うでしょうね」と捉えることもできるのでは?
そう言えば、178話の焼肉回でヒュースの隠し玉は既に二宮隊にバレていましたね。そのときにヒュースは「変化弾は 二宮隊以外の部隊に当てれば点は獲れる」、遊真も「二宮隊には二宮隊用の新手を考えればいいだけだ」と発言していました。ヒュースがイコさん相手にバイパーを使ったのは割と予定通りで、エスクードカタパルトなどの二宮さんを狙うそぶりには、二宮隊の意識をヒュースの隠し玉に向けさせる意図もあったんではないでしょうか。
ベイルアウト直後に言っていた「最低限やっておくべきことはやった」とはイコさんを落としたことだけでなく、こちらの印象づけのことも含まれていたのかもしれませんね。
クッキー生地の解説
実はこの作戦を示唆するコマがありました。
たまたま?それにしては出来過ぎな気がします。
修のトリオンはカツカツ
修のトリオンが少ないのは周知の事実です。だからこそ読者も二宮隊も「修に新トリガーはない」と無意識のうちに思い込まされていました。
ヒュースの隠し玉が二宮隊にバレたのは、トリオン量の多さの割に威力が弱かったからでした。修の隠し玉が最後までバレなかったのは、これの真逆でトリオン量が少なすぎるが故に威力の違いに気づけなかったからです。
自分の「弱さ」すら駒の一つとして完璧に扱うのが三雲修の「強さ」ですね。
蔵内のハウンド解説
ハウンドは追尾性能の強弱を調節して使うという先月の解説。まさかこういう形で回収される伏線だとは夢にも思っていませんでした。直前にあえて解説されたことで「やられた感」が増していると思います。
これは遊真のスコーピン乱反射のときにも思ったことなんですが、トリガーの仕様からは技術や工夫、戦術、対処方法など色々と考察することができますね。これから他のトリガーの仕様が判明した時は気をつけたいと思います。
焦った二宮さん
二宮さん、大きい方の弾を変な方向に撃っちゃてますね笑 二宮さんがこれほどコントロールを乱すとは余程動揺したんでしょう。
里見先輩も「焦ると弾が変な方向に飛んじゃって・・・」と話してましたし、焦ったときにコントロールが乱れるのはシューターに共通した弱点のようです。
(追記)
名無しさんから「アステロイド暴発は操作している左腕を切断されたことによるもよう」とコメントを頂いたので、自分なりにも考えてみます。
ただ全く同じ状況のシーンが無かったので、関連してそうな黒トリガー争奪戦のときの佐鳥のスナイプのシーンから考えていきます。まず、腕がなくなってもシューターは弾を撃てるはずなのに、佐鳥が出水の手を狙ってるのは不自然なんですよね。何かしらの意図があったはずです。
そこで考えた仮説は「イメージと体の動きのズレによるコントロールの乱れ説」です。
出水が腕を出しているのは、撃つイメージをしやすくするためだったんじゃないでしょうか。つまり、シューターはトリオンキューブを出す際に「どこにどういう風に出して発射するか」を体の動きとリンクさせてイメージする場合があるということです。
そのときに、狙撃や銃撃によって予想外に体が欠損すると、イメージと実際の動きにズレが生じて一時的に制御不能に陥るんじゃないでしょうか。
この「イメージと実際の動きがズレたから説」には直接的な根拠がありませんが、そこまであり得ない説ではないと思います。
MVPは小南先輩
作戦会議に入れてもらえなかった小南先輩。一人だけ修の隠し玉の存在を知らされていなかったようです。可哀想だけど面白すぎます笑
観客席が想定外の技に盛り上がれたのは小南先輩が騙されていたおかげですね笑
「ナイスキル」
スナイパーであれば撃った後はバッグワームをつけてすぐに移動すべき場面。ただ今回に限ってはミスではなく体が動かなかったようです。
いくら自分で覚悟を決めて撃ったとは言え、少し呆然とした状況のよう。腰が抜けて動けないみたいですし、頭も回らなかったみたいです。犬飼の「ナイスキル」への返答も間が抜けていましたし、トドメの音が「タタタタ」だけであることから集中シールドを張って粘るようなこともして無さそうですね。千佳の心のケアが玉狛のメンバーから入って欲しいところです。
そして犬飼は撤退して玉狛第二の勝利が確定。
修は奇襲で倒せますし遊真もトリオン切れしそうだったにも関わらず二宮さんが犬飼を撤退させたのは、「順位は変わらないから」に加えて「玉狛を認めたから」という解釈をされている方が多いようです。確かに決断を下す前の二宮さんの表情、口元は見えませんが微笑んでいるように見えます。
人を撃てなかった鳩原がいた二宮隊の3人は、撃てるようになった千佳と玉狛第二に対してある種の感慨深さみたいなものを感じているのかもしれません。
次号展開予想
遊真が倒れ込んで喜んでる一方で、修が振り向いて見ている方角は千佳がいた方角です(辻の奇襲のコマや千佳の狙撃のコマから推察できます)。
想定外の千佳の狙撃に対して、修は今どう思っているんでしょう。次回のやりとりが楽しみです。
さらに、王子の講評、弓場隊の打ち上げ、麟児さんの情報、第二次ガロプラ侵攻、遠征選抜試験など楽しみなことが盛り沢山です。物語は近界遠征編に向けてますます加速していくことでしょう。いや〜楽しみでしかたがないですね!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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また別の記事でお会いしましょう!
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