漫画研究室

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ワールドトリガー214話感想「遠征選抜試験⑫」戦闘シミュ演習ルールの試行錯誤の形跡

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ワールドトリガー214話 葦原大介 集英社

香取の文句は説明の起点に便利。ワートリ214話の感想です。

戦闘シミュ演習のルール説明と練習試合の回でした。


ゲームクオリティの作り込み

戦闘シミュ演習、かなり設定が作り込まれていました。

行動設定や射程など複雑ですがその分だけ面白そうです。戦闘シミュ演習をワートリ公式のゲームアプリにして欲しいくらいですね。

少しメタ的な予想になりますが、わざわざここまで詳細なルールを説明したということは、こうしたルールを把握して初めて理解できるような高度な戦術バトルが描かれるんじゃないかと思います。期待が膨らみます。


普段のランク戦のようなリアルタイム進行のバトルではなく、将棋のようなターン制のバトルでした。
設定フェーズと行動フェーズが分かれているということで、センス・瞬発力よりも頭脳・戦術力が問われることになりそうです。
ゲームをセンスでこなすタイプの香取には少し不向きかもしれません。染井華は無双してそう。

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144話

現実の戦闘を模して作られたシミュ演習ですが、あえて現実の戦闘との違いに着目して読むのも面白いかも。




試行錯誤の形跡

もう一つ地味に面白いと思ったのは、勝敗基準が「ユニット数が2体以上多い方の勝ち」というルールです。
どうしてこれを面白いと感じたかというと、このルールに決定するまでの試行錯誤の存在を感じ取れたからです。

最初から「2体以上」なんて複雑な条件を加えることはないと思うんですよ。最初は「ユニット数が多い方の勝ち」だったのが、テストプレイを繰り返す中で「2体以上」というバランス調整が行われたんだと思います。
(普段のランク戦よりユニット数が多いため、1体あたりの戦術的価値が低くなっています。1体差は勝敗を決するほどの差じゃないのかも)

戦闘シミュ演習の試行錯誤の形跡は、ソフトの「ver1.04」という表記からも読み取れます。

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214話

この試行錯誤の形跡、作品内レベルで解釈するならエンジニアやA級隊員によるテストプレイが考えられますが、メタ的に解釈すると葦原先生によるテストプレイの存在を感じられます。
このクオリティまで脳内で試行錯誤して作り上げた葦原先生のシミュレーション力に感服させられます。

ユニットのパラメータとBBFの関係

ユニットのパラメータは、基本的にBBFのパラメータに準拠していました。

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BBF/214話

香取のパラメータを照らし合わせながら見ていきます。
「トリオン」「攻撃」「技術」の3項目は、BBFと共通した項目です。また「防御」「援護」はBBFの「防御・援護」の値が採用されています。
「回避」は名前が違いますがBBFの「機動」の値が適用されていると思われます。

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BBF/214話

修のパラメータを見てみると、基本的に香取と同じようにBBFと対応していますが、「援護」と「技術」はBBFよりも高い値になっています。
これはBBFのデータが14巻時点のものだからで、修の成長が表現されているんだと思います。

練習試合による分かりやすい説明

ルールが作り込まれている分、どうしても理解のハードルは高くなってしまいます。

今回は「習うより慣れろ」の精神で練習試合をやってくれたおかげで、かなり理解しやすくなっていました。作中キャラと読者の両方にとって優しいチュートリアルでしたね。

特に香取がファインプレイ。
「すれ違うのでは?」「追跡行動が強いのでは?」という疑問点について読者の代わりに質問してくれました。おかげでスムーズに説明が進みました。
説明メインで絵面が地味なので、文句を垂れ流したりリアクションが大きいという点でもありがたい存在です。おかげで飽きないですね。


あと、ちびユニットが可愛くて好きでした。
隠岐に「スパン」と狙撃されたときの香取の表情がツボです。和む。

次回以降への展望

今後の展開の伏線になっていそうなのは得点配分の設定。
後半の方が得点が高いらしいです。

「前半は手の内を明かさず、後半まで良い作戦を温存しておく」「前半の負けをブラフにして後半で無双する」みたいな『損して得とれ』戦術が効果的になりそうです。

一戦ごとの戦術レベルの評価だけでなく、全体を通した戦略レベルの評価が重要視されているのかな。上層部の思惑が潜んでいそうで面白そうな設定でした。


「いろんなことができそうです」

三雲修、本当に出来ることなら何でもやる奴なので楽しみです。
なんといっても迅さんをチームに勧誘したやつですからね。今回はどんなとんでもない策を仕掛けてくるのか。


ここまで読んで頂きありがとうございました。
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