漫画研究室

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アクタージュ scene100 感想・考察「千世子の答え」

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舞台「羅刹女」公式サイト https://www.shonenjump.com/studio_daikokuten/rasetsu/

ネタバレあり。未読の方はご注意ください。

"勝ち負け"の意味

元々サイド乙は千世子の役者生命が懸かっている為「勝ち」への執着が強かったですが、今回は特に勝ち負けに関するセリフが多かったですね。

黒山監督

「ケンカに負けんのが大嫌いなんだよ」

「誰にも"不戦勝"なんて言わせるつもりはねぇ」

千世子

「造花は生花には勝てない

「裸になっても届かなかったら

 

勝ち負けの意味ですが、舞台「羅刹女」においては3つあると思っています。

 

1.「企画」としての勝ち負け

企画の上では「セリフの変更は許さない」というルールがあるので、それを破ったサイド甲は反則負け。すなわち、サイド乙の不戦勝となっています。

(訂正)元々芭蕉扇を煽ぐシーンにはセリフがなかったためセリフの変更には該当しませんでした。天知は「これは流石に看過できない台本無視ですね」と話していますので、「同じ台本で演じなければならない」というルールを破ったため反則負け、という解釈が正しそうです(こんなルールが存在するとは本編では(多分)言及されていませんが)。

サイド甲の配信映像に2日目のものが使われることを知った上で黒山監督が「不戦勝」と発言しているので、おそらく企画としての勝敗はサイド乙の不戦勝で覆ることは無いでしょう

 

2.「数字」としての勝ち負け

では、サイド甲の映像配信に使われる2回目の公演が大成功を収め、サイド乙よりも高い数字を結果として出してしまった場合はどうなるでしょうか。

もちろんルール上はサイド乙の勝ちのままでしょうが、観客(=読者)の心情としては納得のいかないものがあります。言ってしまえば、「ルールを犯そうがなんだろうが結果を出した方が勝ちではないのか」と。この数字としての勝ち負けという観点に関しては、ルールに則った企画の勝ち負けとは分けて考える必要がありそうです。

 

千世子は元々、主演する作品を全てヒットさせることに責任感と執着を持った役者であり、羅刹女編の冒頭でも「成果は数字にしてこそ」と発言しています。また、今回の舞台には役者としての寿命を懸けており、千世子が数字で勝つことが必須であることに疑う余地はありません。

サイド甲の配信がたとえ2日目のものになったとしても、サイド乙は数字の点でも勝つことになりそうです。

 

3.「役者」としての勝ち負け

アリサさんに自分の消費期限を聞いたときに「生涯彼女(=夜凪)の上を行き続けたい」「女優時代のあなたも私は超えていく」、夜凪が芝居をやめた場面で「ふざけんな」「完璧なあなたに勝たなきゃ 意味がないんだよ・・・!」と発言しています。千世子の「役者」としての勝ち負けへのこだわりが強いことは以上のセリフから明らかです。

「どちらの芝居が優れているか」というのは人によって評価が変わって判断が難しいところですが、今回に限ってはそれを「数字で競う」ということになりそうです。

 

 

デスアイランドが売れた理由

「ヒットは千世子の(意外性のある)クライマックスのおかげ」というアリサさんのセリフに違和感を感じた方がそこそこいらっしゃるようです。「たった一つの演技がヒットの要因になるなんておかしくないか」と。

結論から言うと、私は全く気になりませんでした。

というのも部分的な要素だけが話題になることで大ヒットに繋がることは珍しくないと思っているからです。

銀魂の実写映画を例に挙げます。この映画では「下ネタを言う橋本環奈」が話題になりましたよね。「これだけでヒットした」なんてことはないと思いますが、少なくとも意外性が話題性を生みヒットに繋がった一例とは言えるのではないでしょうか。

 

 

 

実は有能な手塚監督

今回は、いじられキャラとして話を読みやすくするために使われてるだけだけですけど、千世子ちゃんのあの表情を引き出したのこの人の采配のおかげなんですよね。有能。

今思い返すとデスアイランド編の手塚監督まじで好き勝手にやってますからね。今回あたかも「自分、常識人です」感出してますけどそんなことは無い。映画監督というやつはどいつもこいつもやべえ奴ばっかです。

 

 

千世子の答え

千世子と黒山監督の辿り着いた答えは「仮面の芝居と心の芝居のギャップを意図的に作り出す」でした。

黒山監督がサイド甲の芝居を見てからこの答えを思いついたということは無いだろうし、千世子が夜凪の芝居に圧倒されて心が折れるところまでは想定してたっぽい。妬みと怒りの感情"だけ"では勝てないことに千世子が気づくのを待っていたのでしょうか。

最初に「仮面の芝居の限界」を、次に「感情の限界」を、そして今回は「メソッド演技だけの限界」を教えたってところかな。

 

千世子があっさり仮面の芝居を捨てたことに悲しさを感じていた部分もあるので、過去を無駄にしない展開はなかなか熱いです。千世子だけができる芝居でもあるので、どんな芝居になるのか全く予想がつかないですね。

 

技が通用しない→修行で新技会得→それでも勝てない→新旧の融合技

という流れが完全に少年漫画。やはりアクタージュはジャンプ作品。

 

 

次回予告

祝2周年記念表紙&巻頭カラー!!

貰えるとは思っていましたが、サイド甲のクライマックスではなくサイド乙の方に合わせてくるとは完全に予想外でした。

表紙と巻頭カラーにどんな絵をぶち込んで来るかが楽しみですね。

表紙はW羅刹女をもうやってるんで正直何が来るか全く予想がつかないです。サイド乙メンバーが一番無難だとは思うんですが、そうすると主人公の夜凪が表紙に入らないんですよね。表紙絵に主人公が入らないってのは考えにくいので…。

 

巻頭カラーの方は1周年記念のときに全く本編と関係のない集合絵だったので、2周年記念の今回は映研メンバーと羅刹女編で初登場の役者を加えた集合絵ですかね。

何かしらの企画も合わせてやってくれそうな気がします。一番嬉しいのは人気投票ですが、一番可能性が高いのは新しい企業タイアップかな。

 

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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また別の記事でお会いしましょう!!