漫画研究室

ジャンプ作品の感想や考察を書いている個人ブログです。ジャンプ感想を毎週更新中。ワートリ感想を毎月更新中。呪術廻戦・アンデラの単行本感想を随時更新中。

【2021年47号】週刊少年ジャンプ感想:アオのハコ 26話・高校生家族 59話・PPPPPP 6話

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週刊少年ジャンプ2021年47号 集英社

ジャンプ2021年47号の感想です。
アンケートは「アオのハコ」「高校生家族」「PPPPPP」で送りました。

アオのハコ 26話

カラーの感想から。

表紙、秋らしい配色で好きです。
巻頭カラーはハロウィンコスプレ。本編では見られないだろう露出具合に仄かな背徳感を感じます。普通のラブコメなら気にならない程度ですが、この作品だとこれでも攻めてる部類ですね。


本編の感想。

大喜の看病をしてくれる千夏先輩。
憧れの先輩に看病して貰うというシチュエーションも良かったですが、それ以上に千夏先輩の先輩らしいアドバイスが良かったですね。
落ち込んでいる大喜を否定せずに「いいじゃん」と認めてくれつつ「遠くの目標を持つことを怖がらないで欲しい」と励ましてくれるなんて最高の先輩です。恋愛云々を抜きにしても、人として尊敬できる魅力的なキャラクターですね。
大喜のモノローグの「この人のこういうところが好きだ」に共感しかありません。


ここまで堅実で安定した展開を続けてから…ハプニングが投入されました。
ベッドに倒れた大喜に覆い被さる千夏先輩。ブコメによくあるラッキースケベなハプニングですね。

そもそもアオのハコの作風的にラッキースケベなハプニングはやらないと思っていましたし、真面目な相談の直後ということもあったので、作風とタイミングの二重の意味でビックリする展開でした。
さらに、千夏先輩が大喜の頬に手をあてるという追い討ちをかけられてしまったので、もはや何がなんだか分からない状況です。どういうつもりですか???何をするつもりですか???

これくらいなら、普通のラブコメだと軽く描写されてしまうレベルのハプニングなのかもしれませんが、アオのハコの作風だと全く軽くない重大イベントになりますね。
ここまでの人間関係をリアルかつ誠実に描写しているからこそ、少しでも非日常な展開になると普段との落差で火力が凄まじいことになります。






高校生家族 59話

春香の将棋回、面白くて好きです。

どうしてこのネタはこんなに面白いんだろうなということを少し考えてみたところ、将棋漫画らしい要素がたっぷり詰め込まれているからという結論に至りました。

もちろん、ハートの座布団や30段パンケーキのようなギャグ漫画らしい要素もあって、これはこれで面白いんですが、これだけだと普通のレベルの面白さにしかならないはずなんですよね。
このレベルの面白さまで引き上げていたのは、現役最強棋士との遭遇のようなシリアスな将棋漫画らしい要素だと思います。「強くなれ…名も知らぬ女子よ」とか「いつか戦ってみたい」とかです。


ギャグ漫画の中で本格的な将棋漫画っぽい描写がされているというギャップが面白いんでしょうね。イレギュラーな状況に対して「俺は一体、何を読まされているんだろう…」というシュールな笑いが生まれています。
一郎のバレー回といい、真面目にやればやるほどシュールで面白くなってしまう、ある種の「型」のようなものが出来上がってしまっていますね。こうなると無敵です。

光太郎やお母さんがメインの回における「型」の誕生も楽しみです。光太郎は弓木さん関係、お母さんはのぶかつ関係で何かしら誕生しそうな気がします。

PPPPPP 6話

ここ数話ずっと面白いと思ってはいたんですが、他作品との兼ね合いでアンケートを送れていなかったので、ここ数話分の評価をまとめて今回のアンケートで送ることにしました。
なので、今回の内容に限った感想というよりは、漠然とした作品に対する感想みたいになっています。


個人的にPPPPPPの好きなところは、音楽の凄さを徹底的に視覚情報で表現しているところです。

漫画という媒体である以上、視覚で音楽が読み取れるように読者に対して描写するのは当然のことなんですが、この作品は作中キャラも演奏を視覚情報で受け取っているんですよね。「すごい映像が見える=すごい演奏が聴こえる」という設定になっています。

具体的な例を挙げると、5話のレイジロウの演奏の見開きが分かりやすいですね。
読者の「すごい見開きだ!」と作中キャラの「すごい映像だ!」がシンクロすることで「レイジロウの演奏が凄い!」という説得力が生まれています。
このシステムは発明ですね。めちゃ面白いです。


もう一点、好きなところをあげると、テクニックのバトルではなくスキルのバトルになっているところが好きです。

例えば、今のレイジロウとの対決でも「轟音 VS PPPPPP」という分かりやすいスキルの対立構造が示されています。
もちろんテクニックを軽視しているわけではないと思いますが、ストーリーの主軸となっているのは、ラッキーの能力をどのように曲の解釈に当てはめて映像を生み出すかというところにあります。

テクニックのレベルアップで演奏に説得力を持たせようとすると、リアルな演奏描写や練習描写が必要になってきますが、スキルバトルでは求められるリアリティラインを下げることができます。
リアルよりのジャンルの作品にはガチ勢からのリアリティの追及がつきものですが、「これはフィクションです!」と言い切ることで上手くリアリティの追及をかわしているんだと思います。


あと、今回のタイトル回収について余談。

PPPPPPのタイトル回収がありました。とても小さい音を表す「ピアニッシシシシシモ」という意味らしいです。
ラッキーの演奏の音が小さいという情報は以前から出されていましたし、これはこれで一つの正しい解釈なんでしょうが、個人的にこれは本命のタイトル回収ではないと思っています。

Dr.STONEでいう石鹸みたいな「取り敢えずのタイトル回収」じゃないですかね。
つまり、PPPPPPには他にも意味があると思います。
個人的には「Pが6つあるのは音上家の六つ子を表している」という解釈を推しています。


ここまで読んで頂きありがとうございました。
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