漫画研究室

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アンデッドアンラック8巻(62〜70話) 感想:サマー討伐編クライマックス・風子、敵陣突入・スプリング討伐編開幕

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アンデッドアンラック8巻 戸塚慶文 集英社

アンデラ8巻の感想です。
8巻で累計130万部突破!めでたい!

62話 不死と不真実

ラストの見開きにインパクトを全て持っていかれました。
シェンの腹が…。これは駄目だ…。
アンディの欠損で感覚が麻痺していますが、腹が貫かれるのは普通の人間なら致命傷ですね…。

復讐に囚われたシェンをムイちゃんが泣きながら止めたり、不死と不真実のコンボ技がファンに効いたり、流れが良い方向になって油断していたところにとんでもない爆弾を投下してきやがりました。
完全に不意打ちだったので、ページをめくってからシェンの生命の危機を把握するまでにタイムラグがあ理ましたね。


この時点では、リップのように古代遺物で復活する可能性とこのままシェンが退場してしまう可能性の両方が考えられました。

こういった形で人気キャラを退場させるのは他の漫画だと考えにくい展開ですが、アンデラにはループがあるので人気キャラを早々に退場させても簡単に再登場させられるんですよね。かなりハラハラしました。




63話 私の大好きな

まさかのメイちゃん登場。

「死に際に家族の姿が見える」というベタな演出ですが、アンデラがロジカルな設定を用意しないまま、こういう演出をするのは少し意外に感じました。
UMAオータム捕獲の報酬として「UMAゴースト」の追加というのがあったので、それと関連して故人の幻覚が見えるようになる、みたいな説明があったらアンデラらしかったんですけどね。現時点ではゴーストは追加されていないはずなので、ただの幻覚として解釈するのが無難かと思います。


メイちゃん登場からシェンの謝罪、メイちゃんとの別れ、ムイちゃんとの出会い、シェンの蘇生…。
一連の流れが全て完璧でした。何も言えることがないくらいですね。

強いて言うならメイちゃんが可愛かったです。

64話 今の僕が

死亡回避の方法はキョンシー化でした。
ライフイズストレンジでは無かったので予想外でしたが、納得のいく解決法でした。キョンシー自体は既出の情報でしたからね。

ところで、以前から地味に描写されていたムイちゃんの丸薬ですが、意外なことに使用されることはありませんでした。何のために物語に登場させたんでしょう…?さらに先の展開の伏線…?
「私の命を糧に作った」というヤバい説明でビビったので、ムイちゃんは自分で丸薬を食べて命を回収してください。


シェンからムイちゃんへ想いを告げるシーン。
直接的な告白ではなく、不真実の発動条件を伝えることで間接的に告白しているのが良かったです。

直接的でないので分かりにくい描写ともいえますが、それ以上に「読者に気づかせる」構成になっているところが粋で素敵だと思います。

「読者に気づかせる」構成になっていたのは、ムイちゃんが小籠包を自分で食べようとしたのにシェンの口元に運んでしまう回想エピソードもですね。おそらくムイちゃん相手に初めて不真実が発動した瞬間のエピソードと思われます。
何気ない瞬間にシェンがムイへの好意を自覚したことが伺えるようになっています。

また、シェンの「強い弱いに関係なく初めて好きになったキミをもう少し守らせて欲しいんだ」というセリフからは、ファンと同じように強さに執着してきた人生をムイちゃんのおかげで脱却できたことが分かります。

65話 感謝します

ムイちゃんの開眼&クソデカフォント!!

そういえば、ムイちゃんは糸目キャラでもありましたね。すっかり忘れてました。
糸目キャラの開眼という定番のイベントに、アンデラ名物クソデカフォントを組み合わされたら、それは絶対に面白くなるに決まってるじゃないですか。

「不真実の能力がムイちゃんに移るかも」という考察自体は以前からありましたが、想像を遥かに超える完璧な能力移動でした。
能力移動直後の事故で味方を傷つけることがなかったのも良かったです。


少し意表を突かれたのは、ファンを相手に不真実の発動条件「好きになる」を満たせたこと。
ファンはシェンの妹の仇なので、たとえ能力がムイちゃんに移動したとしても、発動条件をファンを相手に満たすことは不可能だと思っていました。

ムイちゃんが「否定者としてシェンの力になれることを感謝する」という説明で発動条件を満たしたのは、その手があったかと思わず唸るロジックでしたね。


シェンの「ファン、アンタは強いよ。きっとこの世で一番。でもね、ただ…それだけだ」という台詞も大好きです。

天下無双を夢と語り、同僚すら犠牲にしてヴィクトルと戦おうとするなど、"強さ"に執着していたシェン。
かつての自分を否定するセリフで、シェンが"本当の強さ"を知ったことが分かります。めちゃくちゃ良い。




66話 それが真実

「ボクを強くしたのは絶望でも憎しみでもない。そこからボクを救ってくれた愛だ。それが真実だ。」

能力名が決め台詞に使われているの良いですね。「真実」という1つのキーワードがキャラやストーリーの軸になっていて綺麗です。
そういえば、不真実の発動条件が「対象を好きになること」だったのも、夏討伐編の決着が「愛=真実」になることを見越した設定だったのかもしれません。


UMAサマーがフェーズ2に成長。
龍のようなカッコいいキャラデザです。今までに登場したUMAの中でもトップクラスに好きですね。

目次録が都合よく色々と解説してくれましたが、意思に反して解説してくれたのはムイちゃんの不真実が発動しているからですね。
ムイちゃんが目次録に興味津々な様子から、目次録のことを好きになるという発動条件を満たしているのかなと読み取ることができます。普通に読めば分からなくはないんですが、少々分かりにくいですね。
これはアンデラの良いところでも悪いところでもあるんですが、アンデラは描写の意味を読者が察することで初めて面白さが生まれる作品だと思います。


UMAサマー戦。ファンを倒して絶望や憎しみを否定した次は、UMAサマーを倒して「個の強さ」を否定するということでしょうか。
チカラやトップ、タチアナなど他のユニオンメンバーと合流したということは、「個の強さ」と対比となる「集団の強さ」の可能性を見せてくれそうです。こういう展開の持っていき方も好きです。

67話 花火

この作品の魅力の一つである否定能力コンボバトルを存分に楽しめました。
特に、不運でマーキングして不可触の大雑把な攻撃を100%的中させるコンボは無茶苦茶で大好きですね。チートみたいな強さですが理論的に納得するしかない完璧なコンボでした。

前回までのような心情にフォーカスしたバトルも面白かったですが、今回のようなロジカルな能力バトルも面白いですね。アンデラのバトルには色々なタイプがあって色々な魅力があります。


そして、サマー編のエンディング。

「俺は一度だってお前らを家族などと思ったことはない」
「それが不真実(しんじつ)なんだね」

このシーン、ムイちゃんが不真実を発動しています。つまり「俺は一度だってお前らを家族などと思ったことはない」は嘘(不真実)で、本当(真実)は「シェンとメイのことを家族と思っていた」ということですね。不真実を語らせることで真実を知ったので「不真実」のルビが「しんじつ」になっています。

前回に引き続き、不真実が発動していることに気づくことが必須のシーンでした。逆に気づけないと何の話をしているのか全く分からないんですよね。自分も初見ではよく分からなくて損しました。
あと、ファンとシェンが涙を流している描写なんかも、さりげなくて気づけませんでした。


正直なところ、ファンには「絶対悪」のキャラとして魅力を感じてたので、ここにきて「情」の要素を出してくるとは面食らいました。
まあ、期待外れという気持ちが全くないわけではないですが、これだけ完璧なエンディングを見せられると「これはこれでアリだな」と納得せざるを得ないです。

68話 行ってくる

風子がアンダーへ。
大量の情報が提供された情報回でもありました。


情報1。夏が消滅。
驚くべきは、UMAサマーの消滅と同じタイミングで夏という概念が消滅したことです。

UMAの消滅と概念の消滅にはタイムラグがあると思っていました。
というのも、ランゲージを討伐したとき、世界言語が統一されたのはクエストの結果発表のときだったんですよね。ランゲージの前例を踏まえると、夏の概念が消滅するのは次のクエスト結果発表のときだと思っていました。

現時点ではUMA討伐の例が少ないので断定できませんが、ランゲージ討伐がイレギュラーなケースだったのかもしれません。報酬が「言語という概念の消滅」ではなく「世界言語の統一」だったので。
基本的には「UMAの消滅と同じタイミングで概念も消失する」と理解しておきます。


情報2。地球が寒冷化。
これは北欧神話をモチーフにしている展開だと思います。。北欧神話でもラグナロクの直前に長い冬が訪れます。

実は、アンデラには北欧神話をモチーフにしている要素がいくつかあります。そもそもラグナロク北欧神話の用語ですし、風子が古代遺物に触れて見たラグナロクのイメージも北欧神話と共通点が多いです。

ラグナロク - Wikipedia


情報3。ウィンターの居場所はアララト山

アララト山はトルコにある山で、ノアの方舟が流れついた場所と考えられているそうです。
アンデラでノアの方舟といえば、次のループに進むための古代遺物「アーク」ですね。もしかしたらアンデラ世界でもアークはアララト山に存在するのかもしれません。

アララト山 - Wikipedia


情報4。突如出現したテラー。

空間に穴が空いていることから空間移動の古代遺物を使用していると考えられます。
ジュイスがこのリスクを考慮してトップに黙示録を持ち運ぶように指示したのは大正解でしたね(66話参照)。
さすがジュイスさん。


情報5。条件。

テラーが煽るようにジュイスの腕を落として「これで常人なら条件を満たすはず」と発言。
「条件」というのは、おそらくビリーのコピー能力の発動条件のことでしょう。「これ」というのは、ジュイスの腕を落として風子の怒りを誘うことでしょう。
「ビリーの否定能力の発動条件は対象に嫌われること」という考察がありましたが、どうやら的中していそうです。




69話 確かめるんだ

風子を行かせたことをみんなに責められるアンディ。
風子を大切に思う気持ちは他のメンバーと同じですが、ここで「死ぬなよ」と送り出せるのがアンディのパートナーたる所以なのかなと思います。


アンダーの円卓会議。

バニー、ラトラ、リップと見知った顔がいるのが嬉しいところです。
おかげで敵陣に乗り込んだはずなのにアウェーな雰囲気じゃないですね。さっそくクリードの攻撃から守って貰えました。
もちろん、風子本人のメンタルも雰囲気を和ませてくれています。タンポポ見つけて「かわゆー」とか緊張感がなさすぎる。

傾いた円卓からは、行儀の悪い集団というイメージや序列関係を意識した集団というイメージが伝わってきた…んですが、単行本おまけでバーンのおっちょこちょいと判明しました。


最後の見開きでアンダー勢揃い。シンプルですがカッコいいコマ割りですね。

新キャラについては、笠を被った人が友才(かつてアンディに居合を教えてくれたキャラ)タバコの火をつけるのに苦戦している男性が不燃(不燃なので火をつけられない)じゃないかと考察されています。
ツインテールの女の子については現時点で情報がありません。

70話 春

躊躇いなく核を使用するアンダー。人の心とかないんですかね。

スプリングの古代遺物のおかげで核ミサイルは不発でした。対象の一番大切にしているものを奪う古代遺物らしいので、核ミサイルの一番大切な「爆発」を奪ったということでしょう。

今のところスプリングの好感度が割と高いです。核を不発にしてくれたのもありがたいですし、キャラデザがカッコよくて好きです。花見と酒を楽しんでいる様子からは人間味なんかも感じます。「大当たり 運を運ぶは 春一番」みたいに台詞が五七五調になっているのも良いですね。
不運の威力は好感度に比例するので、スプリングへの好感度は重要な要素になってきそうです。


この回では、クリードの否定能力「UNDECREASE-不減-」と、笠を被ったキャラが友才という情報が明かされました。
どちらも新情報のはずですが、読者の間では以前から予想されていた情報だったからか、あっさりと公開されました。こういう思い切りの良さがアンデラのハイスピードな展開を生み出しているのかもしれません。

単行本おまけ

古代遺物 随心鉄桿

詳細不明の「肆の型」の伏線が張られました。
ファンからシェンに譲られたようなので、今度のバトルでシェンが使用して「肆の型」を披露してくれると思います。


ファンのプロフィール

否定能力が「UNFADE-不老-」と確定。大方の予想通りでしたね。
バトルの中で説明するタイミングがなかったとはいえ、能力名開示をスキップされたのは可哀想です。

体重については、これまでのプロフィールと同様に伏せられていました。この伏線、いつになったら回収されるんでしょうね。


人気投票結果発表。

アンディと風子のワンツーフィニッシュという文句のつけようがない結果でした。全体的に妥当というか波乱のない結果でしたね。

強いて言うなら、安野先生の3位が想像以上の人気で驚きました。ただ、これも投票時期と安野先生の活躍時期が被っていたことを踏まえると納得の範疇です。


ここまで読んで頂きありがとうございました。
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