漫画研究室

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アクタージュscene104「起爆剤」感想・考察『黒山監督の株が上がる』

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舞台「羅刹女」公式サイト https://www.shonenjump.com/studio_daikokuten/rasetsu/

ネタバレあり。未読の方はご注意ください。

次回の感想はこちらからどうぞ。

サイド乙の舞台も盛り上がってきましたが、サイド甲よりテンポがかなり速いですし、マツキ先生は結局「『黒山監督が凄い』って話に帰着させようとしていないか?」という印象を感じつつあります。

 

天使⇄悪魔の芝居

前回から引き続き、「天使の美しさ」と「悪魔の恐ろしさ」という対極な芝居を繰り返すことで観客を惹きつける千世子。白石サンの言うように、夜凪と王賀美の二人がかりでやっていたことを一人でやってのけてしまっています。これは強力な芝居ですね。

そして、この二種類の演じ方の切り替わりが読者にもはっきりと分かるのは、宇佐崎先生の画力があってこそですね。表情というより雰囲気からして違うように感じます

あえて苦言を呈させてもらうと、千世子の天使⇄悪魔の入れ替わりが早すぎたせいで、若干ノリきれない部分がありました。もう少し尺を使って、ゆっくりやって欲しかったですね…。1ページごとに芝居が切り替わると、どうも芝居がコロコロしてるように感じてしまうので。

 

そして今回、新しく明らかになったもう一つの千世子の強みは「カメラの把握」です。これはデスアイランド編でも言及されていた、天使としての本来の強みですね。

またこれだけでなく、今までに出てきた演技の技術が複数、千世子の芝居に活用されています。「サイド甲での夜凪と王賀美の対比の芝居」「天使の手が届かない芝居」「阿良也の観客に近い芝居」「カメラへの映り方」「デスアイランドでの千世子と夜凪の対比」「 星アキラの独白」などですね。こういう過去と現在を照らし合わせる構成は大好物なんで嬉しいです笑。

 

「千世子のメソッド」の代名詞とも言える卵を吐き出すことで会得した芝居は、あっさりと済まされちゃいましたね。ゲロ吐いてても綺麗な千世子さんは流石です笑

 

安定の阿良也

孫悟空牛魔王の演技の違いは、口調が変わってるところが一番分かりやすいですけど、絵が醸し出す雰囲気も変わっているように感じます。流石の宇佐崎先生の画力

羅刹女編では取り上げられることの少ない阿良也ですが、裏を返すと阿良也の芝居は既に高いレベルで安定しているとも言えます。羅刹女編中に更なる成長やアクシデントは考えにくいでしょう。

本物の猿を"喰う"ことで孫悟空を演じた阿良也ですが、牛魔王を演じるのには誰を"喰った"んでしょうね。気になりますが、描かれる可能性は低そうです。

 

和歌月の実力

凡人感のあったキャラがここまで評価されるまで成長するとやはり「黒山監督ヤベー!!」となりますね。

ただし和歌月さんの成長の過程には若干疑問が残ります。

「実力不足を自覚しているからだ」「本物の力をつけろ」「欲しくても手に入らなかったものを『お前はもう持っているよ』と教えてくれる」は矛盾していませんか?

 

これについては、とりあえず一応納得できる仮説を立てました。

必要とされる実力のラインに「選ばれる実力」「肩を並べる実力」の二つがあるという説です。

黒山監督の言う「実力不足」「本物の力をつけろ」の方の「実力」は、千世子や阿良也といったトップレベルの役者に「肩を並べる実力」のことだったのではないでしょうか。こちらは当然不足しているので黒山監督の稽古で改善。

そして「欲しくても手に入らなかったもの」の方は、「選ばれる実力」のことを指しているのではないでしょうか。そもそも和歌月は「実力で選ばれること」にコンプレックスを抱いているキャラでしたし、今回もそういう様子がありました。「選ばれる実力」「肩を並べる実力」よりはハードルが低いでしょうし、黒山監督に「お前はもう持っているよ」と認められてもおかしくありません。また、和歌月のモノローグの際に千世子にズームしていっているのも「千世子が誰よりも"選ばれる"女優であるから」と考えると納得できます。

 

敏腕な柊雪さん

か、鏡持ってきて!貴方も天使だよ!!

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104話

初めて活躍と呼べる活躍が披露されて……しかも「ブレーン」ってめちゃくちゃカッコいいじゃないですか…。僕はもう泣きます。

 

黒山監督の手腕

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104話

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3話

アンタがそれを言うんかいっ

…と、まあネタは程々にして感想を。

先週の感想で、今回の本編と似たようなことに言及できていましたのでそちらから。

今までのほとんどの舞台は演じながら役者が成長していく不確定な要素が多いストーリーでした。本来完成されてなければいけない芝居が不安定だからこそ、読者はどのような展開になるかが予測できずに惹き込まれていたわけです。

今回のサイド乙の舞台にはそういった不安要素がありません。

そもそも演劇って不確定要素をなるべく削るために稽古をしているんでしょうしこれが本来あるべき姿っぽいです。

アクタージュの理解が深まってきた実感があり、嬉しいです。

この内容について詳しくは前回の記事をご覧ください。

 

「山野上のバカといい どいつもこいつも」には、デスアイランドの手塚監督や銀河鉄道の巌さんも含まれてそうです。まあ、あの二人は成功したから結果オーライなんですけど、花子さんは失敗したから確かにバカですね笑。

 

花子さんの失態で黒山監督の手腕が逆に目立つのと、千世子と和歌月を化けさせたっていう実績で、黒山監督の株がうなぎ上りです。

今まで目立った出番が少なかったため、読者からの評価もそこまで高くないですし、やはりこのサイド乙の公演で、なるべく黒山監督の格を上げておきたいというマツキ先生の狙いもあるんじゃないかな、と思います。

 

黒山監督の過去

新宿のMVの時にもさりげなく示唆されてましたが、ここまで凄惨な現場を経験していたとは… 。

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62話

プロトタイプの「阿佐ヶ谷芸術高校映像科へようこそ」はアクタージュの5年前の話ですが、その時点で黒山監督は日本で教師をしていますし、海外を巡っていたのは5年以上前=20代の頃だったということになりますね。結構若い時から修羅場をくぐってきたっぽい。

黒山さんが撮りたい映画っていうのは、今回話されていたような戦場系の映画なのかな? 何の根拠もないけど違う気がするな〜。「阿佐ヶ谷」では、ラブストーリー系の「真夏の雪」という映画が黒山監督の代表作、と言われていたのでそのイメージがあるからかもしれません。

 

サブタイ「起爆剤

素直に受け止めるとサブタイは、黒山監督のセリフ通り「百城千世子は夜凪景の『起爆剤』」という意味ですが、内容も含めて考えると「黒山監督は千世子や和歌月の「起爆剤」」という意味も兼ねてそうですね。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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また別の記事でお会いしましょう!!